研究内容
摩擦プロセスの描像の再編
「固体の摩擦には静摩擦と動摩擦の二種類が存在する」… 摩擦プロセスの描像の根幹をなすこの解釈は、かの Charles-Augustin de Coulomb(1736~1806)以降、200年以上にわたり支持されてきました。高校の物理にも登場する「二種類の摩擦」ですが、実は未だに謎が多く、静摩擦の存在に疑問を投げ掛ける実験結果も報告されています。このような混沌とした状況の中、本研究室では、静摩擦の存在を仮定することなく固着状態を作り出し、動摩擦力ベクトルの回転で「固着と滑りの遷移」を説明するシナリオ(動的固着理論:Nakano & Popov, 2020)を発見しました。以後、純粋に力学の言葉だけで語られる動的固着理論を起点として、摩擦プロセスの描像を再編する研究を展開しています。